不織布検品に画像解析AIを導入 “見逃さない検品”と“省力化”を両立

2025-10-16

Toyobo

ポイント

  • 画像解析AIと人の協調による安定した検品体制を構築
    検査機が取得した画像に対してAIが欠点候補を抽出し、作業者が最終確認を行うことで、確認工数の大幅削減と品質安定を同時に実現しました。
  • 目視確認の負荷を大幅に削減、省力化と品質維持を両立
    過検知によって増加していた確認作業の負荷をAIが軽減。検品効率を高めながら、ばらつきの抑制にもつなげています。
  • 再学習機能で多品種にも柔軟に対応
    品番の違いに応じてAIモデルを再学習可能。現場で“育つAI”として、持続的な改善サイクルを実現しました。

導入事例の概要

東洋紡エムシー株式会社では、山口県岩国市にある岩国環境・ファイバー工場において、不織布製品の検品に画像解析AI「mitococa ketten」を導入しました。
従来は既存検査機が抽出した多数の画像をすべて作業者が目視で確認しており、過検知による工数増が大きな負担となっていました。

この課題に対し、AIが“2次フィルタリング”として候補画像をふるい分ける仕組みを導入。
AIが候補を提示し、人が最終判断を行う運用体制により、省力化と品質維持の両立を実現しています。

導入にあたっては、Phase1(簡易机上検証)→ Phase2(机上検証)→ Phase3(本運用)と、
段階的に検証・改善を重ね、現在では現場でのアプリケーション運用が定着。
さらに、品番に応じた再学習機能も備えており、今後の他ライン・他拠点への展開にも対応できる柔軟性を持っています。

導入企業の概要

企業名:東洋紡エムシー株式会社
所在地:山口県岩国市
事業内容:機能素材に関連する商材の企画、開発、製造および販売

課題と解決策の概要

課題

検査機が抽出した多数の画像をすべて目視で確認する必要があり、異常のない画像も含まれることで作業負荷が高く、省力化が求められていました。
一方で、欠点の見え方は品番や反色によって異なるため、人の判断を完全には排除できず、自動化との両立が課題となっていました。
また、現場業務に密着した運用を目指すうえで、既存フローと整合する仕組みであることも重要なポイントでした。

課題認識から解決までの流れ

Phase1(簡易机上検証)
代表銘柄の検品画像を用いてAIモデルの分類精度を簡易検証し、AI活用の可能性を評価。

Phase2(机上検証)
大量の代表銘柄の検品画像をもとに本格的なAIモデルを構築。他品番での判定精度を確認するとともに、再学習による精度向上の効果を評価し、再学習機能の有用性を検証。あわせて、ロット単位の画像データを用いて工数削減効果も分析。

Phase3(本運用)
作業者が直感的に操作できるようUIを整備し、実運用に向けた体制を構築。AIが欠点候補を提示し、作業者が最終判断を行う役割分担システムを採用することで、品質・作業性・運用定着のすべてを両立させました。

導入後の効果・メリット

確認対象の絞り込みによる省力化と作業効率の向上
検査機が抽出した多数の画像の中から、AIが異常の可能性が高いものを自動で選別。
確認対象を大幅に減らし、目視作業の負荷と時間を大きく軽減しました。

既存フローにAIを組み込む設計で、現場に定着しやすい運用を実現
従来の検査機による画像抽出を活かしつつ、AIを“二次フィルタ”として組み込むプロセスを構築。
操作画面(UI)も実際の業務に即して設計することで、現場に定着しやすい運用を目指しました。

現場で“育つAI”による柔軟な対応力
品番に応じたAIモデルの再学習が可能で、運用中のデータを活かしながら精度を継続的に向上。
これにより、他ラインや他拠点への展開にも柔軟に対応できる仕組みを整えています。

顧客の声

東洋紡エムシー株式会社 澁谷様のコメント
(岩国環境・ファイバー工場 不織布マテリアル製造ユニット 係長)

以前は欠点検査機が抽出した画像の確認作業に多大な時間と労力を要しており、現場にとって大きな負担となっていました。

mitococa ketten』を導入してからは、AIが欠点の可能性が高い画像を自動で抽出してくれるので、確認作業が大幅に効率化され、作業者の負荷軽減に大きく寄与しています。

さらに、再学習機能の活用により、多様な製品にも柔軟に対応できるようになり、柔軟性と将来性のある仕組みであると感じております。
今後のライン展開や品質改善にも大いに期待しています。

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