大規模施設のオペレーション効率化を実現する導入事例:「エスコンフィールドHOKKAIDO」

2025-07-04

Escon

ポイント

  • 野球場の効率的運営を実現する技術導入
    北海道日本ハムファイターズの本拠地球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」では、JR西日本グループの「ビーコンによる動線可視化システム」と「エリア立ち入り検知AI」を導入。大規模施設での清掃管理効率化と来場者の安全確保を実現。
  • 大規模施設での清掃管理と安全確保が課題に
    数万人単位が来場する広大な施設内で、清掃係員によるゴミ箱清掃や管理が追いつかないという試合中の美観維持の課題と、可動式屋根の開閉時の安全確保という異なる2つの課題を抱えていた。
  • AIとビーコン技術によるオペレーション業務効率化の実現
    ビーコンを活用した清掃係員の動線可視化と分析に成功し、清掃オペレーション改善サイクルの構築に寄与。また、AIカメラによる「エリア立ち入り検知」システムにより、係員による目視確認の必要が不要となり、安全性を向上しながら人員配置を効率化。

導入事例の概要

JR西日本グループは2023年に「長期ビジョン2032・中期経営計画2025」を策定し、未来社会とその課題を見据え、将来にわたって新たな価値を創造する企業グループへの進化を目指しています。そのために、さまざま なパートナーと連携し、イノベーションに取り組んでいます。

その一環として、JR西日本グループの技術やノウハウを活用し、鉄道の枠を超えて社会の課題を解決する「アウトバウンド型のオープンイノベーション」を推進しています。この取り組みでは、JR西日本グループの社員自らがさまざま な企業へ赴き、それぞれの業界の課題を直接うかがい 、企業様がが抱える課題を持つ技術を私たちの技術とつな繋ぎ合わせることで、最適な解決策を提案し、課題の解決を目指して活動しています。

今回の事例では、エスコンフィールドHOKKAIDOにおける取り組みをご紹介します。

導入企業の概要

導入企業名:株式会社 ファイターズ スポーツ&エンターテイメント 所在地:北海道北広島市Fビレッジ1番地
業務内容:ボールパーク「エスコンフィールドHOKKAIDO」 全体のマネジメント業務、球場運営業務、プロ野球関連興行業務など
特色:北海道日本ハムファイターズを中心としたエンターテインメント事業を展開しつつ、地域社会とのつながりを重視し、先進的なファン体験の提供や持続可能な運営を行っている。

課題と解決策の概要

「エスコンフィールドHOKKAIDO」は2023年に開業。    
北海道日本ハムファイターズの本拠地として使用され、2023年度の1試合平均入場者数は約26,000人に上ります。    
新たに開業した野球場の効率的かつ安全な運営について、いくつかの課題がありました。

課題

300か所のゴミ箱 管理が追いつかない
 エスコンフィールドHOKKAIDOでは、球場内の約300か所に ゴミ箱が 設置され 、清掃係員が試合中に巡回してゴミ箱の利用状況を確認するほか、 満杯になったゴミの回収や、汚損の 清掃を行い 美観を維持しています。敷地面積は5ha、延べ床面積は約12万㎡、収容人数は約3万5,000人と いう広大さのため 、場所によっては清掃係員の対応が追いつかず、美観の維持に課題がありました。
② 可動屋根開閉時の安全対策業務を効率化したい
 「エスコンフィールドHOKKAIDO」は可動式 屋根を備え、 天然芝の育成管理のために、天候状況に応じて1日に複数回開閉されています。可動式 屋根の開閉時には、安全確保のために可動屋根支持部 付近に係員を配置していましたが 、さら なる安全性の向上と業務効率化が課題となっていました。

課題認識から解決までの流れ

①ビーコンによる 清掃係員の動 線を 可視化する実証実験  株式会社ビークルーと共同で ビーコンとビーコンからの 電波を受信するスマホアプリを開発。 清掃係員が携帯するスマホに、 ビーコンからのデータを蓄積・可視化するシステムを導入しました。 球場内各所のゴミ箱にビーコンを設置し、受信アプリを起動したスマホを携帯した清掃係員の動きを把握するための、実証実験を行いました。

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② AI搭載カメラによる立ち入り検知の検証
JR西日本 の画像解析AI技術「エリア立ち入り検知」を活用し、屋根可動部周辺のエリアにAIを搭載したカメラを設置しました。 AIカメラが 滞在する人の有無を検出し、必要に応じて監視ルームのモニターに緊急停止を促す仕組みを構築し、検証を実施しました。

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導入後の効果・メリット

① 動線の可視化から、清掃作業効率化フェーズへ
 ビーコンを活用した動線可視化の結果は良好で、今後は結果を分析したうえで清掃オペレーションの改善に向けて、引き続き検討を進めていきます。
② 目視確認をAIカメラでの監視に置き換え、業務効率向上
 「エリア立ち入り検知」を活用した検証結果についても 良好で、係員の配置や監視カメラを使った目視による確認から置き換えが可能となり、 業務の効率化が図れました。

顧客の声

技術をアレンジせず、そのまま現場に導入・活用できた

株式会社 ファイターズ スポーツ&エンターテイメント ご担当者様
「 国内外のいろいろ なスタジアムや工場などを見学し、勉強しましたが、各スタジアムにはそれぞれの特徴があり、課題の本質を理解してエッセンスを抽出したうえ でアレンジする必要があり、 他スタジアムの導入事例をそのままの形で、エスコンフィールドHOKKAIDOで使用することは難しいと感じました。
しかし、JR西日本の技術はほとんどそのままエスコンフィールドHOKKAIDOで活用でき、大変助かりました。
今後もさまざま な領域で、JR西日本とコラボレーションし、エスコンフィールドHOKKAIDOでのお客様の体験価値を向上させるために取り組んでいきたいと考えています 」

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