鉄道営業線の盛土部地盤等における防音壁・防風壁の施工は、線路に近接する狭隘な施工環境となることが多くなっております。この基礎工事では、鋼管杭等を採用し線路閉鎖工事により重機を使用して施工する必要があり、安全面や生産性の問題を抱えております。本記事で紹介する「小口径斜杭基礎」は、重機が不要で電動工具を用いて人力で施工が可能な簡易な基礎構造であり、狭隘な場所でも安全かつ効率的な施工が可能です。
1.特徴
・小口径回転圧入鋼管杭の(斜)組杭基礎であり、高い水平抵抗力を得ることができます。
・電動トルクレンチ等の器具を用いて、人力で施工することにより建築限界を支障することなく、施工できます。
・線路側の杭の施工においても、地盤変状に伴う線路への影響を皆無とし、鉄道輸送に対する安全性の高い施工ができます。
2.施工順序
・現地調査後、線路防護柵を設置し、杭施工のためにのり面側に足場を組み立てます。
・杭芯測量を行い、所定の位置に杭を打設します。
・杭打設完了後、現場打鉄筋コンクリート製の基礎を施工します。
・鉄筋コンクリート基礎上に支柱を建て込み、防音パネルを設置します。
・この施工が完了後、足場、線路防護柵を撤去し、完成となります。
3.技術導入の効果
作業負荷が軽減されるため、線路閉鎖工事で行う鋼管杭基礎と比較して約40%の工期短縮と約30%のコストダウンが可能です。
4.施工実績
おおさか東線建設工事(JR野江~放出) 盛土部防音壁基礎(杭長:2m 約850本)
奈良線第2期複線化工事(桃山~六地蔵) 盛土部防音壁基礎(杭長:2m 約164本)
東海道支線防音壁新設他工事(新大阪~大阪) 盛土部防音壁基礎(杭長:2m 約334本)
【まとめ】
線路に近接した位置に設ける防音壁等の基礎工事を人力により簡易に施工できます。
重機の使用が困難な狭隘な場所では、その効果が期待されますので、是非本工法の採用をご検討ください。