JR東海様:数十名分の視線データを翌日までに解析・可視化

2026-08-21

〜視線解析システム導入~

Eyetracking

ポイント

  • 当社のプレスリリースをご覧いただいたことをきっかけに、視線解析システム導入が実現
    安全性向上の観点からアイトラッカー活用を模索されていた東海旅客鉄道株式会社(以下、JR東海)様に、当社が自社運転士養成課程で実績を積んだ視線解析システムをご提供。仕様決定からわずか2年での導入実現となりました。
  • 翌日までに数十名分の視線データを解析・可視化できる環境をご提供
    導入後は、訓練で取得した数十名分の視線データを翌日までに解析しダッシュボードへ出力することが可能に。指導員が翌日の机上教育で客観的なデータをもとにフィードバックできる環境が整いました。
  • 導入先のシミュレーター・分析ニーズに合わせてゼロからチューニング
    当社とJR東海様ではシミュレーターのメーカー・UIが異なり、可視化したい視線項目も異なります。新たにシミュレーター動画を用いた専用AIモデルの構築から、ヒアリングに基づくダッシュボード設計まで、JR東海様の環境に合わせたチューニングを一から実施しました。
  • ネットワーク接続不要のスタンドアロン構成で、セキュリティ要件にも対応
    社内ネットワーク制約のある鉄道現場でもご利用いただけるよう、オフライン動作・Windows対応のアプリケーションとしてご提供しています。

 近年、安全性向上への新たな取り組みとして、運転士の視線解析に注目が集まっています。本記事では、JR東海様における視線解析システム導入事例をご紹介します。
 JR東海様は、2024年度に当社が自社運転士養成用に開発・運用してきた視線解析システムを採用。その決め手は、「業界他社での運用実績 」と「汎用性の高いアイトラッキングカメラを活用したソフトウェア 」の存在でした。本プロジェクトでは、JR東海様の訓練運用フローや車両シミュレーターの仕様に合わせ、AIモデル構築からダッシュボード設計までJR東海様の要望を基にフルカスタマイズ。導入後は、訓練で得た数十名分の視線データを、翌日までに解析・可視化できる体制を構築し、教育現場の客観的フィードバックに活用されています。

導入企業の概要

• 導入企業名:JR東海 東海鉄道事業本部 運輸営業部 運用課
• 導入対象:在来線運転士用シミュレーターを用いた運転士養成課程

課題と解決策の概要

背景・課題

 JR東海様では、安全性向上を目的に、運転士が訓練中にどこを見ているかを定量的に把握し、安全確認行動の客観的な評価・フィードバックに活かしたいというご意向がありました。研修施設に設置の運転士シミュレーターには視線検知カメラが内蔵され、汎用ソフトを活用した内製システムにより視線分析も実施していたところですが、シミュレーターの取替工事を契機に、視線検知カメラを内蔵ではなく、シミュレーターから切り離し、より拡張性にあるものにできないかご検討されておりました。 そこで目に留まったのが、当社が2023年に公表した視線解析システムのプレスリリースです。これをきっかけにご相談をいただき、導入検討が始まりました。

課題解決手法:自社環境へのチューニング

 当社の視線解析システムをJR東海様にご導入いただくにあたり、システムの根幹ロジックはそのまま活かしつつ、JR東海様の環境・ニーズに合わせた以下のカスタマイズを実施しました。

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JR東海様では3車種のシミュレーターをご利用いただいており、車種ごとに速度計やノッチ表示の仕様が大きく異なるため、車種別に個別のアノテーションとモデル構築を行っています。一部車種に設置されている「ワンマンモニター」の映像を誤検知しないよう、閾値の細やかな調整も実施しました。

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  • ニーズに合わせたダッシュボード設計
    可視化したい内容・重視したい評価ポイントをヒアリングしたうえで、ダッシュボードを新規構築しました。当社のこれまでの運用知見を土台としながら、訓練運用フローに沿った形でカスタマイズし、「訓練結果をその場で可視化・振り返りができる」システムとしてご提供しています。
    主な表示機能:
    • 前方視線割合(前方・時刻表・操作機器などの確認割合)
    • 視線タイムチャート(時系列での視線移動の可視化)
    • 視線回数と滞在時間分析
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  • スタンドアロン構成・転勤時のデータ引き継ぎ対応
    鉄道現場のセキュリティ要件にご対応いただけるよう、ネットワーク接続不要のスタンドアロン構成を採用しています。Windows環境(Edge・Chrome対応)で動作するアプリケーションとして開発しており、社内ネットワーク制約のある環境でもそのままご利用いただけます。また、運転士の転勤時には過去の解析結果をCSVで出力し、他区所への引き継ぎにも対応しています。

導入効果・メリット

訓練翌日までに、数十名分の視線データを解析・可視化
ご導入後は、訓練で取得した数十名分の視線データを翌日までにすべて解析してダッシュボードへ出力することが可能になりました。これにより、指導員が訓練翌日の机上教育において受講者一人ひとりの視線データを客観的な根拠としてフィードバックにご活用いただける環境が整っています。

今後の展望

当社では、本システムのさらなる他社展開を推進してまいります。視線解析システムは、シミュレーターを活用した運転士教育を行っているあらゆる鉄道・交通事業者にご活用いただける可能性があります。引き続き、各社のシミュレーター環境や教育ニーズに合わせたカスタマイズ対応を行い、運転士の安全確認技術の向上に貢献してまいります。

顧客の声

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東海旅客鉄道株式会社
東海鉄道事業本部
運輸営業部 運用課 主任
堀江 弘基 様

 研修センターに設置している運転士用シミュレーターには視線検知機能がありましたが、各現場に設置しているシミュレーターにはその機能が備わっていませんでした。今回、シミュレーターを一斉に更新するにあたり、アイトラッキングカメラを採用することとしましたが、同様の設備を既に導入し知見をお持ちであることから、解析システムの開発をJR西日本様にお願いすることとしました。

 同じ鉄道会社でありながら、設備や取扱いが異なる点も多く、繰り返し打合せをしながら仕様の調整を行いました。シミュレーター本体の開発と並行して進めていたため、教師データの取得においてスケジュールがタイトになる場面もありましたが、JR西日本様のご協力により、高い精度のモデルを構築いただけたと感じています。

 同じ課題意識を持つ鉄道会社同士だからこそ、プロダクト仕様にとどまらず、その活用まで見据えた形で開発を進めていただけたため、安心してプロジェクトを推進することができました。

 今後は、本システムから得られた解析データの活用方法について社内で検討を進めていきたいと考えています。また、そこから得られた知見についてもJR西日本様と共有しながら、両社の安全性向上につなげていければと考えています。

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