ソリューション概要 Outline
駅スピーカーの状態を遠隔で把握し、保守効率化と確実な情報提供を両立
駅はお客様と鉄道会社の最初の接点です。
列車の遅延や運転取りやめの案内、接触事故防止の注意喚起など、放送設備を通じた情報伝達が欠かせません。
JR西日本と山陽電子工業は、こうした情報を確実に届けるため、スピーカーの鳴動状態を遠隔で監視できる新しいシステムを共同開発しました。
現地での確認作業を不要にし、放送の信頼性と保守業務の効率化を同時に実現します。
開発の背景
現在、多くの駅ではアナログ放送設備を使用しています。各駅には複数のスピーカーが設置されていますが、それらの故障や鳴動状態の確認は、保守係員が現地で巡回し実際に耳で聞いて判断しているのが現状です。
しかし、労働人口の減少に伴い、駅係員の配置は大規模駅へと集約され、小規模駅では無人化や巡回対応が進んでいます。そのため、大規模駅から小規模駅への遠隔放送による情報提供の需要が高まっています。
さらに、保守係員の働き方の観点でも、保守作業の省力化や負担軽減が求められています。
こうした状況を踏まえ、遠隔でスピーカーの鳴動状況を確認できる仕組みが求められるようになり、JR西日本と山陽電子工業が共同で開発を進めました。
特徴 FEATURES
安価で導入可能
既存設備に後付けできるため、導入コストを抑えられます。
さまざまな形状のスピーカーに対応
駅の改良工事や設備更新により多様なスピーカーが混在する中でも、ユニット本体のサイズや形状、センサーの取り付け位置などを工夫し、ほぼ全てのスピーカーに設置できます。
安定した判定精度
姫新線・播磨高岡駅で長期間の実証試験を実施し、比較的音量が小さい環境においても安定して判定できるロジックを確立。
試行錯誤を重ねることで、あらゆる環境下でスピーカーの鳴動状態を判定できる仕組みを実現しました。


これらの技術的工夫により、既存のアナログ音響設備にも簡単に取り付けられる、安価で高精度なシステムを量産に向けて開発しています。
今後の展望 Future Vision
駅から自治体・商業施設へ、幅広い分野への展開を見据えて
スピーカー状態監視システムは、保守作業の効率化とお客様への確実な情報提供を両立する新しいソリューションです。
現在は駅の音響設備を中心に導入を進めていますが、今後は自治体の防災無線設備や商業施設の館内放送スピーカーなど、より幅広い分野での活用を見据え、開発を進めています。
JR西日本は今後も、鉄道をはじめとする多様な現場で、安心・安全・快適なサービスの実現に貢献してまいります。

