牽引式レール交換機

2025-07-03

長延長のレール交換作業の効率化に最適

Daitetsu10

 一度に多くの軌道技能者が必要となる、長延長のレール交換作業において、省人化および作業の効率化を目的に、軌陸両用車牽引式の台車装置を開発しました。

1.開発の経緯

 代表的な線路保守作業の一つであるレール交換作業のうち、1本の長さが数百メートルにもなるロングレールを交換する際には、レール吊上げ器を15m間隔で配置し、作業者が人力により一斉に横移動させて交換する必要がありました。これには、多くの作業者が必要となるうえ重量のあるレールを取扱うため、レールとの接触による労働災害発生のリスクが高いものでした。また、多数の器具の運搬や配列等の付帯作業が、作業者にとって負担となっていました。そのため、近年の働き手不足への対応として、省人化や省力化、安全性の向上を実現する機械施工への転換が喫緊の課題となっていました。

人力施工
写真1 人力施工によるロングレール交換

2.「牽引式レール交換機」の概要

従来、市中には2つの台車が走行してレールを交換する「自走式レール交換機」が存在していましたが、以下の課題により機械化施工が敬遠される傾向にありました。

・自走用エンジンを搭載しているため、重量が重く取り扱いが困難

・機械へのレールセット時に吊上げ量が大きく、セット・オフセットに時間を要する

・「レール落下時の労働災害発生のリスクが高い

自走式
写真2 自走式レール交換機

そこで、以下の特長を持つ新たなレール交換機を開発し、従来の課題を解決しました。

・本体を軽量化し、人力での取り扱いを可能とするため、従前の「自走式レール交換機」に搭載されていたエンジンを不要とした、軌陸両用車による牽引式とする。

・新旧レールの吊上げ高を抑制し、セット・オフセット時間の短縮と安全性向上を目的とした、低床構造による3台車方式とする。

交換機
写真3 牽引式レール交換機

 さらに、従来の「自走式レール交換機」では対応できる新旧のレール仮置き位置に制限がありましたが、開発した装置では、あらゆる仮置きパターンに対応可能としており、仮置き条件による使用制限を受けることがなくなりました。

 また、踏切や絶縁継目、橋梁といった構造物が介在する箇所においてもレール交換が可能な構造となっており、様々な現場条件のロングレール交換作業が可能となっています。

レール交換機施工
写真4 牽引式レール交換機による施工状況
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図2 レール交換イメージ
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図3 牽引式レール交換機によるレール交換パターン例

3.長延長の定尺レール交換作業への活用

 レール交換作業では、定尺レールを継目板とボルトで接続した状態のまま、長延長のレールを交換する場合もありますが、従来のレール交換機はレールをつなぐボルトが走行時に機械本体に支障するため、レールの入れ替えができない構造でした。一方「牽引式レール交換機」は継目板のボルトと接触しない構造としており、継目板で接続された長延長の定尺レールにも対応可能です。このことにより、汎用性の高い装置となっています。

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写真5 継目板に対応可能な上部走行ローラー

4.まとめ

 当社におけるロングレール交換は「牽引式レール交換機」の使用が標準的な工法として定着しており、機械施工の習熟度が高い箇所では、交換本作業において約2割の要員削減を実現しています。さらに、事前準備作業においても省人化効果を生み出しており、作業環境の改善や生産性の向上に大きく寄与しています。  長延長のレール交換作業の効率化に最適な「牽引式レール交換機」をぜひご活用ください。

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