JR西日本テクノスは、鉄道車両における空調装置関連事業の更なる拡大を目指して、京都を中心とした新たな拠点「京都空調テクノセンター」を2023年度に開設しました。
本記事では、京都空調テクノセンター開設までの経緯、これまでのテクノスの空調装置事業の説明、京都空調テクノセンターの業務内容を説明させていただきます。
1.はじめに



今回の記事内容は、JR西日本テクノス 森山センター長、玉村副センター長、藤本課長に紹介していただきました。
(1)京都空調テクノセンター事業開始までの経緯

2023年9月末を以ってスミセツテクノ(株)が廃業とした車両関係の業務(主に車両用空調装置に関する業務)を、同年10月1日より当社が、「京都空調テクノセンター」として運営をスタートしました。
運営に当たっては、スミセツテクノ(株)で鉄道車両空調装置メンテナンスの第一線で活躍していた技術者の方を新たに迎え、さらなる拡大に向け、空調装置関連事業を強化することにしました。
(2)JR西日本テクノスのこれまでの空調装置事業について

JR西日本の車両を中心に以下のような空調装置関連事業を行っています。
- 定期メンテナンス(検査・修繕)
- 不具合調査および劣化調査
- 劣化傾向から取替部品、更新を提案
- 空調装置の更新工事(オーバーホール含む)施工
- R22冷媒からR407C冷媒への更新工事(既存の空調装置を活用)※を施工
- 空調制御器(マイコン)の設計、製作
※モントリオール議定書(JCFC〔R22冷媒等〕の国内生産、削減、全廃)の規制対応
➀取替部品、更新提案

劣化傾向や不具合調査の結果から劣化傾向を分析し、故障が頻発する前に最適な修繕方法および更新を提案しています。
- JR西日本:221系・207系・223系・285系、683系、キハ187系等の劣化調査や代替フロン設計
- 東京メトロ:03系の予防保全(屋根上における在姿状態での室内熱交換器取替)
- 相模鉄道:8000系・9000系・10000系・20000系等
➁空調制御器設計、製作
JR西日本だけでなく他事業者の鉄道車両においても、最新の空調制御器へ置き換える設計・製作が可能です。
- JR西日本:207系、221系、223系、283系等のリニューアル工事
- 一畑電車:7000系(制御盤含む)
- 相模鉄道:8000系リニューアル車(応荷重センサー、応荷重センサー箱含む)
2.京都空調テクノセンターの組織体制について
京都空調テクノセンターは17名のスタッフで構成され、「京都空調テクノセンター」を中心として、愛知県清須市に「中部派出」、静岡県富士市に「富士派出」の出先機関を設け、3つの拠点にて業務を展開しています。
3.京都空調テクノセンターの業務内容について
(1)業務内容

京都空調テクノセンターでは空調装置メンテナンス業務を中心に、空調装置関連のさまざまな事業を行います。
- 空調装置を引き取り検査・修繕
- 空調装置の更新工事(オーバーホール含む)を施工
- 空調の不具合調査および劣化調査
- 不具合傾向からの取替部品、更新の提案
- 各種空調装置の生産受託
- 冷凍サイクル(冷える原理)の模型を用いた勉強会



(2)フィールドサービス≪国内≫
空調装置および空調制御器に対し、現場へ直接出張し、修繕、調査、改修、積み替え対応など、空調装置関連のトラブルを解決します。
また、京都空調テクノセンターにて、組立製造を行っていない空調装置および空調制御器であっても各種修繕等に対応しております。
(3)フィールドサービス≪海外≫

国内と同様に海外であっても、現場に直接出張し空調装置に対して修繕、調査、改修、積み替え対応など、空調関連のトラブルを解決します。
こちらも、日本のメーカーが製作した空調装置および空調制御器であれば、京都空調テクノセンターが製作に関わっていない空調装置および空調制御器でも対応可能です。

また、海外の現地作業者を対象に空調装置メンテナンスの技術指導も行っています。
- デリー(インド)
- セントーサ(シンガポール)
- ドバイ(アラブ首長国連邦)
4.まとめ

本記事では、JR西日本テクノスの京都空調テクノセンターの事業開設について説明させていただきました。
当社では空調装置関連システムのライフサイクルすべてに関わっており、国内、海外問わずトラブルに対応可能です。お気軽にお問い合わせフォームから相談ください。
空調装置関連システムのライフサイクル
- ➀設計/開発
- ➁OEM生産
- ③定期検査
- ④故障対応
- ⑤劣化調査・更新検討(調査内容のご提案含む)
- ⑥予防保全(予防保全のご提案含む)
最近では、冷凍サイクル(冷える原理)の模型を用いた勉強会なども積極的に行い、社内外問わず、車両用空調装置のメンテナンスに携わる方々と知見を深める取り組みを実施していますので要望があれば対応いたします。
これからもJR西日本テクノスは、安心・安全な鉄道車両を提供するために、常に最先端の技術と製品を追求しています。