ポイント
- EXPO2025大阪・関西万博に向けた車両の改造
車内空間演出「JR WEST Parade Train」は、EXPO2025大阪・関西万博のアクセスルートをパビリオンのように楽しんでいただくために、‶パレードに包まれるオープンカーのような解放感‶をコンセプトに323系(1号車)を改造しました。 - 車内空間演出「JR WEST Parade Train」の前提条件や課題
車両改造を行う上で車内空間演出「JR WEST Parade Train」は主に万博期間中での運行を計画していたため「万博終了後、容易に原状復帰出来ること」を前提条件としています。それらに加えて、客室の居住性を極力損なわないことや演出の可視性などの課題がありました。 - デジタルサイネージシステムの開発
コンセプトの実現のため、客室全長(天井中央部・天井側面部・戸袋部)に240㎜×120㎜のLEDパネルを932枚設置しました。またLEDパネルを含むデジタルサイネージシステムの動作に必要な電源装置を収納した機器箱を床下に搭載しました。
課題と解決策の概要
客室全長にわたるLEDパネルの設置
LEDパネルは天井側面の曲線部に沿わせるためフレキシブルなLEDパネルを採用しました。
当該車両は万博終了後に通常運用に戻すことを前提としていたので、LEDパネルの設置などは見栄えを考えつつも、車両への加工は最小限を念頭に置いて改造方法を検討しました。


LEDデジタルサイネージの視認性と火災・延焼対策の両立
車両に可燃性のLEDデジタルサイネージを初めて搭載するにあたり、新たに火災・延焼対策についても考える必要がありました。
そのためLEDパネルの表面には、耐溶融滴下対策として強固で且つ曲面製作可能なガラスを取り付けました。加えて、映像が偏光なく見えるようガラスを出来るだけ薄く(厚さ1.1mm)することでLEDデジタルサイネージの視認性と火災・延焼対策を両立しました。

デジタルサイネージシステムの動作に必要な電源の確保
LEDパネルを含むデジタルサイネージシステムを動作させるため、最適な電源装置(車両から供給出来る電力など勘案)を収納した機器箱を床下に搭載しました。
またLEDコントローラーなどの各機器はドア横のスペースに機器ラックを配置して集約しました。


没入感を感じられるような視界の工夫
‶オープンカーのような解放感‶のため、荷棚や広告吊り、窓のカーテンなど安全に関わるもの以外は極力撤去しました。荷棚の撤去に伴い、スタンションポール(お客様が咄嗟に掴まるためのポール)は、JR西日本で初めて車両中心に向かうデザイン(ポールの上部分)に変更しました。

導入効果と実績
車内空間演出「JR WEST Parade Train」は、営業運転開始からSNS上で「ちょっとしたパビリオン気分」「なんかすごい」「乗って楽しい列車」など車内で撮影された動画とともに多くの投稿をいただきました。また「DIGITAL SIGNAGE AWARD 2025」ではグランプリ、その他様々な賞を受賞しました。
