ホーム上の安全確保のために最も効果的なフルハイトタイプのホームドアです。柔軟な扉移動を可能にすることで、到着列車に合わせて必要な位置に開口を設けられるような仕組みとなっており、これまでに類のない世界初方式のホームドアです。
1.従来ホームドアの課題と企画構想
従来、異なる扉枚数の車両への対応やホームでの停止距離に余裕を確保することのできるホームドアとして、昇降式ホームドア(高槻駅ほか)や二重引戸式ホームドア(JR総持寺駅ほか)の開発・導入を行いました。しかし、従来のいずれの方式においても、開口を構成するためのドアや機構部等を収納する筐体を必ず設置する必要があり、これら筐体が配置される箇所を乗場開口とすることはできませんでした。
そこで、海外では一般的なフルスクリーン構造に着目し、ドア機構部を上部で支持する方式を選択しました。さらに、従来の可動式ホームドアの扉制御を分解し、すでに確立されている自動ドアの技術を応用することで、移動する自動ドアのように多様な状況に対応可能なホームドアを開発するための構想設計を行いました。
扉開閉原理
・親扉×1、子扉×2を1つの扉制御ユニットとします。
・各子扉は同じ制御ユニット内の親扉に対し開閉動作し、親扉はホームドア全体に対し移動します。
・各扉制御ユニット同士は連動して開動作し、閉動作により元の位置へ戻ります。
従来ホームドアは、扉を収納するための筐体が戸袋構造となるため、薄型化することが難しいという課題がありました。しかし、今回の新しいホームドアはフルハイトタイプにすることで、扉の駆動・制御機・可動配線などを、旅客の乗降に影響のない上方の固定ケース内に収めることができ、扉部分をスリム化することに成功しました。
2.試作評価による実証
構想設計をもとに、最適な扉ユニット構成や制御機能を具現化したハードの試作とそれを用いた評価検証を重ね、より機能性・安全性の高い柔軟なホームドアとしての品質を確保しました。
また、到着列車に応じて開口位置を可変とする動作機構は勿論ですが、乗務員や駅係員などによる運用オペレーションを考慮した付帯設備・システムについても併せて検討し、最適なホームドアシステムを構築しました。
3.未来感の演出
今回のホームドアは革新的な扉動作機能も然ることながら、意匠についても未来感を演出したデザインを採用しています。
開閉する子扉には、透過性のあるガラス扉を採用することで駅ホーム空間を圧迫しないよう配慮し、横移動する親扉には、お客様へ有効なコンテンツを配信できるよう大型ディスプレイを搭載しました。さらに、上部ボックスにはLEDサイネージを搭載し、運行管理システムと連動した乗降案内などにも活用できるような配置としています。
【 特許出願済 】
- 特願2019-195640
- 特願2019-195640
■大阪駅(うめきたエリア)地下駅での利用イメージ