鉄道直上の道路跨線橋の補修工事では、吊り足場を設置して施工することが多いですが低空頭の橋梁では鉄道の建築限界からの離隔がほとんどなく吊り足場の設置が困難であり、夜間の列車運行が行われない時間帯に停電を取って足場の組立・解体等を行って施工を行う必要があります。この工事は、作業時間に大きな制約を受け、さらに足場の組立・解体時間により補修工事等の本作業時間は非常に短くなってしまいます。本記事で紹介する「ユニット式足場」はユニット化された部材で構成されたタワー足場であり、細かな組立作業が少なく従来工法より半分程度の作業時間で施工が可能となります。これにより、本作業時間を拡大でき、生産性を向上することが可能となります。軽便トロに設置することで線路上を移動することができ広範囲の施工に対応することができます。
1.特徴
・ユニット化した部材を組立てることにより設置するタワー足場であり、15分程度での組立・解体が可能です。
・主要部材はアルミ製であり、1ユニットの重量は約60kgと4人で組立・解体できます。
・幅900mmの張出足場を設置することで線路中心から1.7mの範囲まで足場を設けることができます。
・ユニット化により足場の剛性が向上し、安定した作業を行うことができます(積載荷重 本体部250kg、張出足場部150kg)。
2.施工順序
①組立順序
1)軽便トロを、線路上に設置します。
2)軽便トロ上に下枠を設置します。
3)下枠上に上枠を組立てます。( 速やかに固定が可能なワンタッチフックを有する連結ブレスで堅固に固定)
4)下枠と上枠の四隅にアウトリガーを組立てます。
5)上枠に張出足場を組立てます。
6)足場上に手摺りを組立て組立が完了します。
②解体順序
・足場の解体は、組立とは逆の順序で行います。
3.技術導入の効果
夜間の線路閉鎖工事が180分とした検討例では、従来工法では本作業時間が120分(足場組立・解体で60分)、ユニット式足場では本作業時間が150分(足場組立・解体が30分)となり、約25%の生産性向上が可能となります。
【まとめ】
低空頭こ線道路橋等の点検・修繕において速やかに足場の組立・解体が可能で生産性向上を期待することができます。同種条件の工事においてはその効果が期待できますので、本工法の採用をご検討ください。