AIアシスタント「AyumI」が完全非接触で問合せ内容に応じて、ご利用者様に音声案内や道案内、乗換案内、画像の提供などを行います。
「AyumI」は専用の学習システムを活用することで、案内できる場所の追加や、案内の内容を変更など、柔軟な案内が可能です。
1.案内業務の課題
駅でのお客様対応業務は、サービスの多様化や施設内設備の増加に伴い問合せ内容も増加傾向にあります。また、現在は新型コロナウイルスの影響で減少していますが、訪日外国人観光客の増加に伴って、問い合わせ対応についても多言語対応が求められています。一方で、少子高齢化に伴い労働人口減少が見込まれるなか、駅運用においてはサービスレベルを維持向上しながらも、効率化を行っていく必要があります。このような背景のなか、近年では、駅環境化においてAI技術を活用したソリューションの技術開発が盛んに行われています。発展するAI技術を活用することで、“誰もが意のままに利用できる駅”と“駅運用の効率化”をともに実現することを目指し、AI案内システムの検討・開発をスタートしました。
2.開発に向けた企画構想
AI案内システムの開発を行うため、2018年度からAI案内の技術調査を行いました。その中で、システムの認知度が低いとシステムを利用せず人に問合せを行うこと、回答内容の追加修正は開発ベンダーの対応が必要であり、答えられない質問の修正にも一定の時間を要することが課題として見えてきました。そこで開発を進めるにあたり、「利用率の向上」「ユーザによる学習実現」という2つに焦点をあてることとしました。
3. システムの開発
①ハードウェアの開発
AI案内システムの多くは、映像表示にてキャラクター等が案内を行うサイネージタイプ、物理的なロボットが案内を行うロボットタイプとなります。ロボットタイプは、人の目を引きやすく、利用率が高くなりますが、案内の情報量が少なく物理的構造のため拡張性が低い点がデメリットになります。そのため、今回の開発では、提供する情報の変更や追加などの拡張性が高いサイネージタイプを開発方針とした上で、「利用率の向上」のため空間投影技術を採用し、未来感の演出による驚きと感動を与え使ってみたいと感じて頂く仕組みを取り入れました。量産機開発の際は、本体の小型化、低コスト化だけでなく既存の券売機スペースにも活用できるようにし、ユーザによる設置スペースの確保を容易にしました。
試作機 
量産機
②ソフトウェアの開発
駅係員に話かけるようにご利用頂きたいという思いから音声認識機能を搭載しています。ご利用者様は駅係員をイメージしたAIアシスタント“AyumI（歩夢）”に話しかけることで、ご利用者様のご質問に答えます。過去の実証実験結果から、ご利用者様が求める回答は現在地から最終目的地まで全ての案内を求めている傾向は低く、現在地からどの方向に進むのかを知ることが重要な情報でした。そのため、AIアシスタントと音声による案内は目的地へのファーストステップのご案内とし、操作表示部に地図情報や乗換案内情報等の検索結果の詳細表示を行うユーザーインターフェースとしました。なお、検索結果は二次元バーコードを読み取ることでご利用者様のスマートフォンでも表示可能とし、AI案内システムから離れても地図等の情報を参照することが可能です。
また、ご利用者様が求める回答を得られなかったなどの失敗体験を経験すると、次回の利用は限定的となります。そのため、失敗体験を低減し、再利用率の向上につなげるため、本システムが案内できなかった場合にコールセンターのオペレータへ電話接続し、人の手によって最後まできっちりと応対する機能を搭載しました。
“AyumI（歩夢）”
③学習システムの開発
学習システムはクラウド上に構築し、質問の内容や件数、回答内容をウェブブラウザでリアルタイムに状況の確認を行えます。学習システムはAIの知識強化機能以外にも質問データを活用したシミュレーション機能を搭載しており、実機がなくてもAI案内システムがどのように回答するか確認することができます。この「質問と回答の確認」・「知識の追加修正」・「回答シミュレーション」を繰り返すことでAI案内システムはより賢くなっていきます。この学習システムは設備導入事業者への提供も行っており、ユーザ自身で学習することができ、短期間で回答精度の向上が可能です。
4.まとめ
鉄道業界に限らず、様々なフィールドに導入いただける案内システムです。システムの説明以外にもお客様にあわせた活用方法もご提案致します。お気軽にお問い合わせください。
【参考動画】
■AI案内システム-AyumI-紹介動画
